壁にひび割れができてしまってから、その補修に頭を悩ませるよりも、できることなら、ひび割れの発生そのものを未然に防ぎたい。そう考えるのは、ごく自然なことです。もちろん、地震や経年劣化といった、完全に防ぐことが難しい原因もありますが、日々の暮らしの中での少しの心がけと、適切なメンテナンスによって、ひび割れの発生リスクを低減させることは十分に可能です。未来の不安を減らすための予防策と、異常を早期に発見するための点検ポイントを知っておきましょう。まず、内壁のひび割れを予防するために効果的なのが、「室内の湿度管理」です。特に、木造住宅や、壁の下地に木材が使われている場合、冬場の暖房による急激な乾燥は、木材の収縮を促し、壁紙や塗り壁にひび割れを生じさせる大きな原因となります。暖房器具を使用する際は、加湿器を併用したり、濡れタオルを室内に干したりするなどして、部屋が過度に乾燥しないように気をつけましょう。逆に、夏場の湿気もカビの原因となるため、定期的な換気で、室内の空気を健やかに保つことが大切です。次に、外壁のひび割れを防ぐ上で、最も重要かつ効果的なのが、「定期的な外壁塗装」です。外壁塗装は、単に家を美しく見せるためのものではありません。その最大の目的は、壁の表面に防水性の高い「塗膜」というバリアを作り、壁材そのものを紫外線や酸性雨から保護することにあります。この塗膜が劣化して防水機能が失われると、壁材が直接ダメージを受け、ひび割れや劣化が急速に進行します。一般的に、塗料の種類にもよりますが、10年から15年に一度のサイクルで外壁塗装を行うことが、家を長持ちさせるための理想的なメンテナンスとされています。そして、こうした予防策と合わせて行いたいのが、異常を早期発見するための「セルフチェック」です。月に一度でも構いません。家の内外をぐるりと見て回り、以前はなかったひび割れができていないか、既存のひび割れが大きくなっていないかを確認する習慣をつけましょう。特に、窓やドアの周り、外壁の継ぎ目などは、ひび割れが発生しやすい要注意ポイントです。家も、私たちの体と同じです。日々の小さな関心と定期的なメンテナンスが、その健康を長く保つための、何よりの秘訣なのです。