人生には時折、どうしようもなく理不尽に感じる瞬間があります。私にとってそれは、日曜日の穏やかな昼下がり、窓掃除の途中で外れた網戸が、どうしても元のレールにはまってくれなくなった時間でした。たかが網戸、されど網戸。窓という開口部を守るその薄い膜が、一度その場所を離れた途端、まるで別の生き物のように言うことを聞かなくなるのです。上に合わせれば下が外れ、下を入れれば上がつかえる。その繰り返しの中で、私は次第に自分自身の無力さを突きつけられているような気分になりました。近所の人に見られたら格好悪いなという自意識と、このままでは夜に蚊が入ってきてしまうという焦燥感が混ざり合い、額には汗がにじみます。なぜ、さっきまであんなにスムーズに動いていたものが、一度外れただけでこれほどまでに頑固にはまらなくなるのか。私は網戸を地面に置き、そのアルミの枠をじっと見つめました。すると、上部の角に、小さなプラスチックの爪のようなものが出ているのに気づきました。それを指で押してみると、カチカチと上下に動きます。これが噂に聞く外れ止めというやつか、と私は直感しました。ドライバーを持ってきてそのネジを緩め、爪を一番下まで下げてみました。そして、祈るような気持ちで再び網戸を持ち上げ、上のレールに差し込み、下を静かに下ろしました。すると、あんなに頑なだった網戸が、まるで最初からそこが自分の居場所だったかのように、カチリと音を立てて収まったのです。その瞬間、私の心の中にあった暗雲が晴れ、何とも言えない達成感が広がりました。はまらない原因は、網戸が悪かったわけでも、私が不器用だったわけでもありませんでした。ただ、その仕組みを知らず、適切な準備を怠っていただけだったのです。網戸という小さな壁を乗り越えたことで、私は少しだけ賢くなったような気がしました。それと同時に、世の中の多くのトラブルも、実はこうした「ちょっとした仕組みの誤解」から生まれているのではないかと思いを馳せました。窓を閉め、スライドさせてみる。その滑らかな動きを確認しながら、私は網戸を直した自分を少しだけ誇らしく思い、再び穏やかな日曜日の中へと戻っていきました。