網戸が突然外れてしまい、元の手順通りにやってもどうしてもはまらないという場合、それは単なる部品の不具合ではなく、住宅自体が抱える微細な変化を知らせるサインかもしれません。多くの木造住宅は、四季の温度変化や湿度の差、さらには微小な地震の積み重ねによって、目に見えないレベルで常に動いています。この動きによって窓枠が数ミリでも歪むと、精密に作られたサッシや網戸の建付けに影響が出ます。網戸が外れた後にはまらなくなるのは、この「枠の歪み」が限界を超えた時に起こりやすい現象です。こうした状況で網戸を復活させるには、戸車による高度な高さ調整が必要になります。網戸の左右の下角には、戸車の高さを変えるための調整ネジが隠されています。これを回すと、網戸の片側が上下に動くため、歪んで台形になった窓枠に対しても、網戸を並行に合わせることが可能になります。例えば、窓を閉めた時に上側に隙間ができるなら、その側の戸車を上げる、といった具合に調整を繰り返します。また、レール自体の歪みも無視できません。ベランダ側のレールは、人が踏むことで中央がわずかに沈んでいたり、逆に端が浮いていたりすることがあります。この場合、網戸を中央付近ではめるのと、端の方ではめるのとでは、入れやすさが全く異なることがあります。もし一箇所ではまらないなら、網戸を横にずらして別の場所から差し込んでみるのも一つの有効な手段です。さらに、網戸のフレーム自体が長年の使用でわずかに反ってしまっていることもあります。特に対角線方向に歪んでいると、四隅のうち一箇所がどうしてもレールに乗らなくなります。このような時は、無理に押し込まず、網戸全体を軽く対角線方向にひねるようにして、歪みを補正しながら差し込むという繊細な感覚が求められます。網戸がはまらないという問題は、物理的な知識と、建物の個性を読み解く勘が合わさって解決されるものです。もし自分で調整しても隙間が埋まらなかったり、すぐに外れてしまったりする場合は、窓枠全体の歪みが許容範囲を超えている可能性があるため、プロのサッシ業者に相談する時期だと言えるでしょう。住まいを長持ちさせるためには、こうした網戸の不具合という小さな変化を見逃さず、適切に対処していく姿勢が何よりも大切なのです。
網戸の脱落修理で知っておくべき住宅の歪みと微調整の極意