実家の団地を整理していた際、古くなった網戸を交換することになりました。昭和の高度経済成長期に建てられたその団地は、どこを切り取っても「一般的」な規格で構成されているはずだと思い込んでいた私は、迷わず近所の量販店で標準サイズの網戸を購入しました。しかし、実際に現場で合わせようとして驚きました。団地の窓枠は、現在の一般住宅で普及しているサッシとは微妙に異なる、独自の「公団サイズ」と呼ばれる規格で作られていたのです。幅こそ一般的な九〇センチメートルに近いものの、高さが数センチ低く設定されており、現代の一般的な住宅向け製品は全くはまりませんでした。この発見をきっかけに調べてみると、日本の集合住宅には、その成り立ちによって様々な独自のサイズ基準が存在していることが分かりました。特に団地などの古い建築物では、当時の限られた資材と効率を最優先した結果、現在の私たちが一般的だと思っているJIS規格とは異なる基準が採用されていたのです。この「公団サイズ」に対応した網戸は、今でも専門店や一部のメーカーでは取り扱われていますが、一般的という言葉が指す範囲が、いかに時代や住居の形式によって変化するかを如実に物語っています。私は最終的に、その団地の仕様に合わせた専用の網戸を取り寄せましたが、サイズがぴったりとはまった瞬間、半世紀近く愛されてきたこの建物の緻密な設計に触れたような気がしました。網戸一枚のサイズを通して、日本の住宅供給の歴史の一端を垣間見たような、不思議な達成感がありました。一般的という言葉は、最大公約数的な意味では便利ですが、個別の暮らしの現場においては、時として「例外」の存在を覆い隠してしまいます。古い建物を大切に使い続けるためには、その建物が生まれた時代の基準を理解し、それに寄り添ったパーツ選びが必要になるのです。団地の網戸交換という何気ない作業は、私に「一般的」という概念の脆さと、個々の規格が持つ歴史的な意味を教えてくれました。
古い団地の網戸を新調した時に見つけたサイズ規格の意外な真実