築年数の経過した実家の木造住宅で網戸を新調することになり、私は初めて日本の住宅における網戸規格の奥深さに触れることになりました。当初は近所の量販店で一般的とされるサイズの網戸を買ってくれば済むと考えていましたが、実際に窓を測ってみると、そこには現代の標準とは異なる尺貫法の世界が色濃く残っていました。父に話を聞くと、この家が建てられた当時は大工さんが現地の寸法に合わせて建具を作っていたため、窓ごとに微妙にサイズが異なっているのだと言います。いわゆる関東間、関西間、中京間といった地域ごとのモジュールの違いが、網戸のサイズにも明確な差を生んでいたのです。私が一般的だと思い込んでいた九十センチメートル幅の規格は、あくまで現代のアルミサッシにおける最大公約数的な数値に過ぎませんでした。古い家の場合、窓枠が木製であることも多く、網戸専用のレールが後付けされていたり、そもそもレールがなかったりと、設置条件そのものが特殊なケースも珍しくありません。私は結局、全ての窓を一つずつ計測し、特注サイズでオーダーすることにしました。計測の過程で気づいたのは、古い家ほど窓枠にわずかな傾きがあるため、規格品のような遊びの少ない製品では隙間ができてしまうという点です。オーダーの際には、戸車の調整幅が広いタイプを選び、現場で高さを微調整できるように工夫しました。無事に取り付けを終えた網戸は、まるで最初からそこにあったかのように窓枠に馴染み、隙間一つない完璧な仕上がりとなりました。一般的という言葉に甘んじず、その家が持つ歴史的な規格や個別の歪みに向き合ったからこそ得られた満足感でした。網戸のサイズを選ぶという作業は、単なる消耗品の購入ではなく、その家が歩んできた建築の歴史を知る貴重な機会でもあります。もし古い住宅で網戸の交換を考えているなら、一般的という枠組みを一度取り払い、まずは目の前の窓をじっくりと観察することから始めるのが良いでしょう。その手間こそが、古い家を大切に住み継いでいくための第一歩となるはずです。